ヒトデは天草の人みんなが食べているわけではない。上島の東海岸(八代海側)は食べるけれど、西海岸(島原湾側)や下島の方では食べないそうだ。
ほんのちょっとした距離で食文化が違うのだ。文化の差異はほんとにきめ細かい。
そういえば、竹富島で「ンゾー」と呼ばれていたウデナガカクレダコは隣の小浜島では、「ムンツァン」、石垣島では「ウムズナー」と呼ばれていた。
日本各地に旅すると、駅前には同じような安売り洋服屋、メガネスーパー、コンビニなどが並んでいて、文化の微妙な差異がどんどんなくなっている。情報(交通)メディアが発達することで、それぞれの土地の匂いが失われている。便利になることって、ほんとに人間にとって幸せなのかなあ。違いは小さな驚きだし、それを発見するのが旅の楽しみだと思うのだけれど……。
さて、打ち上げの夜のこと。
アッと驚く人が参加してくれた。
井上陽水!
「リバーサイドホテル」「カナリア」「少年時代」を唇を曲げながらあの独特の声で歌ってくれたのである──というのは冗談で、じつは、この天草の井上陽水は、(有)リッコー潜研の代表取締役・田中一志さん。今回の取材コーディネートをしていただき、たいへんお世話になった方。
しかし、そっくりでしょ?
みなさんに声もお聞かせしたいなあ。ほんと、声もまったく同じ。
天草陽水の登場に一同大爆笑。
その後、陽水さんの持ってきたカツラを被って、征夫さんも熱唱。
是永クンとぼくのB型コンビも、カツラとともに気分は新宿2丁目。
涙が出るほど笑った天草・本渡の夜でした。
ほんと、旅って何が起こるかわからないから、面白いなあ。
(田中さんの写真、征夫さん、是永クンとぼくの写真は、尾﨑たまきさん撮影)
「天草市栖本・ヒトデ漁」
第13回ロケ 2010年6月