とにかく朝から猛暑だった。その暑さのなか、朝8時前になると、海女さんたちが八幡浦(やわたうら)漁港に三々五々集まり、海に出ていく。
ぼくらが取材させてもらう海女船・安盛丸には海女さん3名、海士2名、船頭1名の計6名が乗り込む。8時前後は港は海女船で賑わう。
海女さんはみんなとっても仲が良い。並走する船に乗る仲間に手を振る。
船の中は、かつての家船(えぶね)のような家庭的な雰囲気。
海に潜る前に海女さんたちは身支度をし、耳栓をしたりして、少なくとも30分は準備に費やす。
海では何が起こるかわからないので、海女さんそれぞれがお守りを身につけている。
あまりに暑い。海女さんも陸上班も水中班も疲労困憊。冷えたお茶を飲み、頭から冷水をかぶり、日陰で体を伸ばして、休憩する。
しばし休んだ後、船頭さんが海女さんの採ってきたアワビを刺身にしてくれた。
雄の方が雌よりもコリコリしていて、値段も高いのだそうだ。海女さんは海の中で見ただけで、その貝が雄か雌かすぐわかるらしい。 片穂野さんが赤ウニの身も取り出してくれた。
これがまた最高に美味い!
こういうウニを食べると、寿司屋でウニを頼むとガッカリするようになってしまう。美味しい味を知ることは、はたして幸なのか、不幸なのか……。
と、食べ終えると、すぐさま撮影。
片穂野さんはほんとにキュートな海女さんです。
港に帰って八幡の集落を歩くと、玄関に魔除けの経文が掛かっていた。
海で暮らす人たちは神さまとともに生きている。自然に対する畏敬の念を持ち続けている。その健康なこころを、都会で暮らしていると、失ってしまっているのだろう。
やがて、さきほどまでの晴天がいきなり掻き曇り、激しいスコールがやってきた。
地球温暖化という言葉はマイルドすぎるかもしれない。地球熱帯化と言った方が適当だろう。
地球はかなりヤバイことになってるんじゃないか、と体ごと感じる2010年の夏である。
夜、旅館での夕食時。片穂野さんがサザエとアワビを届けてくれた。
これには壱岐特産の麦焼酎がぴったり。
是永クンのグラスを持つ手つきも様になってきた。
いやあ、ほんと、この言葉に尽きますねえ。
「壱岐島・レオタード漁」
第15回ロケ 2010年8月