撮影が終わってから、獲った魚を福地さんが料理してくれた。
エイグヮー(アイゴ)をポン、ポン、ポンと大鍋に放り込み、砂糖をバラバラッとかけ、醤油をドクドクッと注ぎ、煮付けを作る。
クスカー(サザナミハギ)は油で揚げる。
イラブチャーは刺身に仕立てる。
「男の料理はいいかげんよー」
鍋を片手に福地さんは言うけれど、きびきびした動きはプロ顔負け。
沖縄は草花も大地もすべてのものが潤う「うりずん」の季節。庭の芭蕉の葉がさやさや揺れて、見れば島バナナも生(な)っている。
海での緊張の時間を終え、ホッと一息つくと、風がやさしく体を撫でていく。甘い醤油と砂糖の匂いが鍋から漂う。身も心もふわっと開かれていくこの感じ。まさに幸せのひとときです。
この美味しそうなエイグヮーの煮付け!
うー、たまりません。ここでビールがあればなあ…泡盛があればなあ……。でも、これからインタビューがあるのです……。
われら知恵プロジェクト撮影隊、そろい踏み。
久々の登場、是永君! 福地さんを撮り、
シオン君を撮る。
たまきさん出陣!
海中で、撮影のだんどりを打ち合わせ。
花々と一緒にシーサーが。
福地さんの庭にあった浮き球
エイグヮーの煮付けの良いにおい。
調理する師匠・福地さんと弟子のシオン君。
出来上がり!
福地さんが自分で作ったミーカガンを見せてくれた。
ミーカガンとは沖縄で考えられた手製のゴーグルのこと。
1884年(明治17年)に糸満海人・玉城保太郎が考案したといわれていて、ご覧の通り、姿かたちは現在の競泳用ゴーグルそっくり。
当初、ミーカガンは夜光貝や高瀬貝などを採る仕事に威力を発揮したが、やがて採貝漁業は乱獲で下火に。その後、大型追い込み漁(アギヤー)が始まり、そこでミーカガンの威力が存分に発揮された。
アギヤーは、50人近い海人が水中で魚を袋網に追い込む漁。糸満の海人は、サバニに乗り込み、ミーカガンと網を持って沖縄から奄美、五島、伊豆、そしてフィリピンやジャワ、バリなど東南アジアの海へ漁に出かけていった。糸満漁業の栄えある歴史はこのミーカガンとともにある。
糸満では、モンパノキからミーカガンを作るが、福地さんはデイゴの木で作ったそうだ。
「自分の顔のかたちに合わせて作ったさ。それが大変で、できるまで10日以上かかったよ。ガラスは厚いのを選ぶ。水漏れ防止のために杉の皮をガラスと木の間にはさむさ」
持ってみると、とても軽い。滑らかなシェイプだ。
網の上げ下ろしのときに、網に眼鏡が引っ掛かると生命の危険にさらされるので、できるだけ小さく、そして流れるようなデザインになったそうだ。
魚もミーカガンも、美しいかたちにはちゃんと理由があるのだ。
師匠とミーカガン
弟子とミーカガン
福地さんのあまりのスピードで、フィンはこの通り。
「読谷村・追い込み漁」
第10回ロケ 2010年4月