#01

文・写真:鼓童

2011.06.20

佐渡・鼓童村

鼓童の西田太郎と申します。鼓童は新潟・佐渡島を拠点に国内外で公演活動を行っている太鼓芸能集団です。1回目は、ご存知ない方も多いと思いますので、鼓童と本拠地・鼓童村についてご紹介させてください。

佐渡島は気候的にも文化的にも日本の縮図といわれる周囲260kmの島で、四季折々の祭りが息づき伝統文化の宝庫として知られています。海と山に囲まれ暮らす人々の生業の確かさ、芸能に対する感覚の繊細さ…。日々の生活の中で出会うこれらの風景は、鼓童が創作活動を行う上で重要な環境です。

直江津港(新潟県上越市)とフェリー航路で結ばれる小木港から車で10分ほど、佐渡南西端の小木半島に鼓童の本拠地「鼓童村」がありま す。周囲を森林に囲まれた約13万平方メートルの敷地には、鼓童の事務所である本部棟、レコーディングスタジオを備えた稽古場、若手メンバーの住居棟、ゲ ストハウス、工房などが点在、全国から集まった約60名に及ぶメンバーの創作の場となっています。このほか佐渡島内2ヶ所に旧・学校校舎を利用した鼓童文化財団研修所、稽古場があります。

くらす・まなぶ・つくる

鼓童の活動の根底には「くらす・まなぶ・つくる」というコンセプトがあります。学び創る中から自分自身の可能性を発掘し“生”の充実を図ると同時に、ライフスタイルを作り上げ、永続性のある活動の場にしていこうというものです。佐渡の豊かな自然の中で季節を感じて暮しながら、舞台メンバーは真剣勝負で舞台づくりに挑み、スタッフは鼓童の魅力を最大限伝えようと知恵を絞る。太鼓が一日中鳴り響き、夜遅くまで深い森の中に灯りが漏れる鼓童村では、世代や担う役割が異なるメンバーそれぞれの思いが、今日も夢となって行き交っています。

生活者としての表現者

鼓童のメンバーは都会の出身者が多く、しかも旅に出ていることが多い日常ですが、土に根ざした生活者としての感覚を育てたいと考えています。

鼓童は、結成当時から朝昼晩の食事は交代制の食事当番で皆で作ってきました。今も鼓童村の畑で作った野菜をできるだけ使い、山菜や魚などの「旬」を取り入れるなど、表現する肉体作りへ積極的に取り組んでいます。

春にはメンバー総出で、稽古場を囲む森の手入れをし、そこで切り倒された間伐材を食堂の薪ストーブに使っています。

村の中庭には太鼓の胴に使われるケヤキの木を植えました。その木は今では随分と大きく育って、その木陰はメンバーたちの憩いの場となっています。これは自分たちが太鼓を叩く者であることの自覚を深めようという想いからで、最近では太鼓の革となる牛も購入し、島内の牧場で育ててもらっています。

そして夏には「鼓童村祭り」を開き、お世話になっている島の人々をお招きし、メンバーの心づくしの手料理と演芸でおもてなしをしています。

こうやって佐渡に地に足をつけて暮らすことを学びながら、時間をかけて鼓童村は本当の「村」になっていくのでしょう。

鼓童村の暮らし、そして佐渡の暮らしをこれからもご紹介していきます。

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